2011/03/27

原発事故を見ながらシステムインフラ系リードのつぶやき

忙しいです。
地震の日も、品川のビルの13Fで、震える手でキーボートをたたきながら徹夜作業をしていました。
計画停電が始まったころは、自宅で稼働させている検証用サーバを止めなければならないので、どうやって仕事をしようか途方に暮れました。

そんな状況の中で、東電の福島原発ほはじめとするシステムの障害対応と、インフラサービスを提供する東京電力の動向を、自分たちの仕事に投影してみていました。

全然まとまっていませんが、

システムの障害対応は万全であるべきか?
「日本有数のMicrosoftr Exchange Server大規模ユーザー企業」の中の人だったこともあるので、今回のような大規模災害時のシステム障害対策は、仕事で真剣に議論したことは何度もあります。9.11以降は、データセンターのテロ対策(兵器による攻撃)までもが、議論の対象になっていました。
10数万ユーザのメールシステムで「データセンターが液状化現象による通信ケーブルが断絶したとき」・・・なんてシナリオに対する対策案は「大阪にデータセンターを置いて冗長化する」でしたが、一瞬で廃案になりました。

大規模に利用されるインフラは、盤石であることと安価であることの両立が必要です。手厚い障害対策をとれば、コストに跳ね返ります。
有史以来観測されたことのない規模の津波に対する対策コストをかけて、その分電気料金が上がったとして、理由を利用者に説明しても到底受け入れられなかったはず。

一電力会社ではなく、国民全体が想定できなかった。
しょせん、人間なんてそんなもんなんですよ。

まあ、非常用電源の設置場所については、コンセプトと実装がチグハグだな、とは思いますけど。

インフラ提供とコスト削減圧力
情報インフラサービスを生業としている私ですが、システムに対するコスト削減圧力はものすごいものがあります。最近は企業レベルで「安く提供できないんだったらgmailにするぞ、クラウドにするぞ」という強迫めいた要求も普通に聞くようになっていました。そんな話が始まると、コスト削減していいところと悪いところの見極めに、ものすごい労力と時間が必要になります(たいていのユーザ企業は、このアセスメントだけでクラウドのコスト削減分を喰ってしまうので、話がとん挫します)
客観的に見れば妥当と思われる「福島第1原発の廃炉」ですが、サービス提供者の東京電力は、一方で猛烈なコスト削減圧力の中で運営されているはずなで、廃炉に言及するのは躊躇するはずです。

ただ、原子力は障害時の影響が甚大なので、安全重視でいくべき。
そのためにコストがかかるなら、難しくてもそれを説明すべきでしたね、東電は。

報酬と作業品質
東電である程度の幹部から上は余分な給料をもらっている、という話はもちろんあるでしょう。
これは、高給取りがそれに見合う仕事をしていなかったという問題で、結果論。
本来、社会を支える重要な基盤の運営責任を負っているのですから、職責に対する報酬が高すぎることはないと思います。
同様の議論は政治家にも言えます。
報酬を下げると、報酬に見合わないと思う(有能な)事業者はその職に就きません。その職務に就くのは「儲けが少なくても(なくても)やる」か「職責と報酬のバランスがわからない」のどっちかでしょう。前者は未経験が多く、後者はそもそも見積もりすらできず、結果として後にまともなサービスが提供できなくなることが多いでしょう。

東電の原発事故対応を見ていると、一部の作業員の質は決して高くない(出稼ぎ道路工事レベル?)と思われる事象が目につきますが、これは有能な作業員を大勢抱えるだけのコストがないから。一般利用者のコスト削減圧力が、事故対応の遅れ・放射能の拡散・不要な事故は増える・・・という連鎖の小さなきっかけを作っていることは、気に留めたほうがよいと思っています。

「貧しくても清く」を人に説くなら、自分も「貧しくても清く」あらねばなりません。
そんなの無理でしょう。
だったら、多少のことには目をつぶったほうがよいのでは?

説明責任
経済産業省原子力安全・保安院、内閣、東京電力の3社の記者会見が入り乱れ始めたときの状況は、苦々しくみていました。現場の人は大変だろうな、と。
前の会社で、一事業所の情報インフラ系を一人で設計構築運用してトラブルに見舞われたときに、2時間おきに報告会を開くことを要求され、「説明に忙殺され、対策を実行することができない」と上司に訴えたことを思い出すからです。
ちなみに私の場合は、説明のうまいスポークスマン的な人がサポートで入ってくれたおかげで、私は対策に専念することができ、事態を収拾できました。ちょうど、枝野官房長官の役回りです。

知る権利?
記者会見で質問をする記者は何様だ?という話をよく聞きました。私もそう思いますが。
質問する側は「国民の知る権利」を振りかざします。
でも、それってどこからくる権利なのでしょう?
私は、大部分は、権利というに値しない、ただの欲からくるだけだと思います。

説明させて、知った気になって、安心する。
でも、知った気になることと、知ることは違います。

知るためには、説明される側にも、しかるべき準備、努力、その後のアクションが必要です。
原子炉の内部構造の説明をしてもらっても、東電や政府の対策の妥当性を自分で確認しても、どうすることもできません。アクションにつながらないので聞いても無駄です。
水道水の放射線濃度は、知らないと市民への影響を回避できませんので必要です。
なんのために聞くのか?が見極められていない漫然とした質問は、時間と体力の浪費で、緊急時ほど忌むべきものです。

本当の事とは?
原子炉の状態について「本当のこと」とは?
政治のお金の話について「本当のこと」とは?
もちろん疑うことは必要ですが、「原子炉はもうだめです」とか「私は賄賂をもらいました」という結論を想像して、性急に(拙速に)に結論を出したいだけではないかと思います。
モニタリングシステムが十分に機能していない原子炉や、様々な法律で規制・許可された政治家の資金など、物事の判断はそんなに簡単ではないはず。こういうことでこう着状態を作るのは意味がないと感じます。

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コメント

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リスクを許容することで得られてるベネフィットなのに
ベネフィットだけ享受してリスクを許容できない人が多すぎます。
義務と権利も。

ここまで考えて仕事をしているのか。
同級生として自分が恥ずかしくなったのでありました。
もうちょっと仕事がんばろうっと。

>こたやんさん
水と安全がタダの日本だからでしょうか。
でも、昔はいろいろなところに「遊び」があったのでなんとかやっていけたのですが、今はとにかくコストカットが行き過ぎて、カツカツですからね。大変です。

>はまちくん
インフラ系は「蛇口ひねれば水がでる、スイッチ押せば電気がつく」と同じで使えて当たりまえ。責任感で持たすとこもあるけど、何かあったときの減点評価がきつすぎるとやる人がいなくなるんじゃないかなと思う。

世界が違うので比較になりませんけど、日本人は一般的に
”情報”もタダで当たり前というところがありますよね。。プレッシャーの大きい仕事で大変ですね。。体調にはお気をつけて!5月、100キロに一応エントリーしてます。やはり地震以降、全然乗れていないので危ないかもしれませんが。

>ヤマさん
形がないものにお金を払うという感覚は、相手の手間や苦労に対する見返りと考えればわかりやすいのですが、それがお金になるという感覚は日本人には少し薄いのかもしれません。

もっとも、相手の手間や苦労に思いが至らない人は、もうどうしようもないのですが。